Kissしちゃう?
 僕たちは店内で枝豆や焼き鳥を摘んで飲みながら、ゆっくりしていた。


 いつもは難しい本ばかりを読んでいる僕も早紀も、そのときだけは思わず和む。


 そしてバカ騒ぎの最中に、退屈し出したらしい早紀が僕の耳元でそっと言う。


「今から、山の公園に行かない?」


「公園?」


「ええ。夜景が綺麗らしいし」


「夜景見ながら寛ぐの?」


「そうよ。公園は山の中腹辺りにあって、二人でそこから夜景を見るの。最高よ」


「ふーん……」


 僕はしばらく考え込んでいた。


 夜景を見るにはこの集まりを抜け出さないといけない。


 しかも、二人同時では絶対に怪しまれる。


 そこで先に早紀の方が「トイレに立つ」とか何とか言って、上手く飲み会を抜け出し、
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