Kissしちゃう?
 普段は滅多に経験できないからだ。

 
 そして僕たちは口付けを終えてから、並んで夜景を見始めた。


「綺麗だね」


「ええ」


「手に取るようにってのは、こんな感じのことを言うのかな?」


「そうね。あたしも、こんな景色ほとんど見たことがないし」


「じゃあ、しばらくこうやってゆっくりしてよう」


「うん」


 早紀が頷き、二人でまた夜景を見続ける。


 その夜、僕たちは日付が変わるまで他愛のないお喋りで盛り上がっていた。


 秋だからか、風が冷たい。


 僕たち二人はともに上から厚手のジャケットやコートを羽織ってきたのが正解だった。


 山を降りたときは、すでに日付が変わってしまっている。
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