Kissしちゃう?
 靴の踵(かかと)が鳴り、僕は自分のアパートに向けて歩き出した。

 
 若干肌寒さがあり、僕は夜道を風に吹かれながら、歩いていく。


“明日も早起きしないとな”


 僕はその夜は一応飲み会だったので、店長に前もって電話して、バイト先の焼肉屋のシフトを外してもらっていた。


 僕と早紀の愛情はまるでこの秋空のように濃くなり、深まりつつあった。


 僕はその日部屋に戻ると、すぐに着替えを持ち、シャワールームへと入って、熱いシャワーを浴びる。
 

 秋らしく、風呂場のバスタブに浸からなくても大丈夫な気候だった。


 それぐらい涼しい。


 天気予報では十月の九州はおおむね晴れるとあった。


 連日、夏の名残のように暖かい日が続いている。


 僕は風呂から上がって、冷蔵庫を覗き込み、缶ビールを一缶取り出して、プルトップを捻り開けた。

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