Kissしちゃう?
 ――寝てたんだろ?


「うん。眠かった」


 受話器越しに欠伸する音が聞こえる。


 多分、今でも相当眠くて、おまけにだるいのだろう。
 

 僕がせかすように、

 ――確か、今日の二限目は日本文学特講が入ってたよ。日本文学科の学生は必修だけどな。


 と言った。
 

 僕も早紀も日本文学を専攻していた。


 元々僕は高校時代、本ばかり読んでいて、勉強らしい勉強はしなかったし、受験勉強などほとんどと言っていいほどしていなかった。


 だから自然と入れる大学のランクも地方の中程度の私立大学に絞られてしまったわけだ。


 だが、僕は自然と今のキャンパスが好きだった。


 研究棟や講義室などは堅苦しかったが、学食や集会場などはいい感じで、どこもかしこ
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