Kissしちゃう?
「意外にもやる気満々ね」


「ああ。先生の話は面白いし、ためになるからな」


 僕がそう言って、手元に置いていたおにぎりを一個掴み、口に入れた。


 しばらく噛んだ後、付いていたお茶で流し込んで、ゆっくりと息をつく。


「あんまし時間ないから、早めに行きましょう」


「ああ。……この残ったおにぎりは食堂の人に頼んで、袋に入れてもらって、お昼に回そうよ」


「うん」


 早紀が頷き、僕はお茶を一口啜って立ち上がり、ゆっくりと食堂を出る。


 後から早紀がおにぎりを入れてもらった袋を握って、付いてきた。


 二人で並んで歩きながら、僕たちはゆっくりと学内を歩く。


 キャンパスはすっかり秋色だった。


 十月とあってか、長袖シャツに長めのジーンズを穿いた学生が多数いる。

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