Kissしちゃう?
 つまり、僕は完全に作家になるという明確な目標を持っていたのだ。

 
 幸い、僕のブログには多数の読者がいた。


 僕の書き下ろす五十枚から百枚ぐらいの短編・中篇は非常に評判がよかったのだ。


 そして毎日欠かさず原稿を書き続け、着実に筆力を付けている僕は、新人賞で実力を試してみようと思っていた。


 自分がどこまで行けるか、どの程度まで評価されるのか、それとも逆に酷評されるか、その評価を気にしすぎるぐらい気にしていたのだ。


 ただし、僕は自分が力を付けつつあることは自覚していたので、マイペースで頑張り続けていた。


 決して無茶だけはしない。


 体を壊してしまったら、元も子もないからである。


 バイト先である焼肉屋のシフトが入ってないときは大いに原稿を書き、バイトが忙しいときはあえて別の話題でブログを繋ぎながら、自分で未発表の原稿を書き溜め続けていた。


 僕はその日、井原先生の特講がある、キャンパスの中では小ぶりの第一学館のゼミ室に入っていき、そこで授業を受けた。


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