Kissしちゃう?
 大抵の女子はそうだ。


 僕は一番後ろの席に座って、校内の自販機で買ってきた缶コーヒーを飲みながら、仲間たちとくだらない話をしていた。


 ノートはまるで取らない。


 だが、試験前になると学部内で壮絶なノートの貸し借りが始まる。


 特に授業を聞き流しているだけの僕にとって、早紀がちゃんとノートを取っていることはありがたいのだ。


 僕はコピーのノートが不可の試験でも、予め別の紙に試験の解答用紙に書くことを書いておいて、それを丸写ししていた。


 つまりカンニング行為である。


 僕も早紀も実家にいる両親から学費全額と生活費の一部を出してもらっているので、単位を落として留年するなど、一番してはいけないことだった。


 だからカンニングしてでも絶対に必要な単位だけは取る――、僕はそう決めていた。


 僕は授業がある日もない日も毎晩、大学から歩いてすぐの場所にある焼き肉店の厨房で働いていた。

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