Kissしちゃう?
 僕たちも紛れもなくそのうちの一組だ。


 そして僕が近くの自販機で熱々の缶コーヒー、早紀が同様に温かいミルクティーを買って、二人で飲み始めた。


 さすがに冬が訪れ始めるのを感じさせるような肌寒い気候だ。


 僕たちは授業が始まるまで、延々二時間半ほど待ち続ける。


 プールは普段からスポーツ科学部の学生たちが頻繁に利用する場所だ。


 僕も早紀も体育の授業が終わったら、二人で近くのファミレスで早めの食事を取り、その後、秋の夜長らしく、早紀の部屋でゆっくりするつもりでいた。


 秋晴れの空が何よりも美しい。


 そう、まるで地平線の彼方に落ちていく太陽は綺麗で鮮やかなオレンジ色だった。


“いい光景だな”


 僕は具(つぶさ)に見つめながら、率直にそう思っていた。

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