Kissしちゃう?
 互いの気持ちがすっかり分かり合えている仲なので、絶えず喋り続ける必要はない。


 二人で肩同士を持たせ合いながら、寛ぐ。


 ふっと僕が、


「キスしたい」


 と言うと、早紀が頷き、次の瞬間、自分の唇を僕のそれにそっと重ね合わせてきた。


 二人で時を忘れて夢中で口付け合いながら、僕は早紀の口の中にある潤いや温かさを感じ取る。


 やがて僕たちがキスし終わると、早紀が、


「真二の体、とっても温かい」


 と言い、僕の肩にもう一度自分のそれを持たせてきた。


 僕たち二人のような学生カップルは、皆慶大にはかなり多い。


 学部・学科を超えてサークルなどで付き合っているカップルも大勢いた。


 僕も早紀も四限目が始まるまで、二人してベンチに座りっぱなしでいる。

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