Kissしちゃう?
 一方の早紀は週に三日、月・水・金だけ家庭教師をしていた。


 彼女が受け持っているのは、不登校で家に引きこもっている高校生に勉強を教えに行くことだった。


 実際問題、それだけじゃないらしく、今の家庭教師は教え子の話し相手になるケースが多いのだ。


 早紀もいろんな話を聞いてあげていた。


 僕たちは、互いのバイトの合間を上手いこと縫って、付き合い続けている。


 僕は深夜のバイトなので、朝方終わる。


 早紀はその時間帯は寝ていて、僕もほんの一、二時間仮眠を取ったら、すぐに彼女にモーニングコールをし、学校に行くか、ファーストフード店で食事でもしながら、学生生活を楽しんでいた。


 そして二人とも授業が1コマもない日は、二人で大学近くの公園に出かけていた。

 
 だが、その日は例外で、僕たちは岩島の授業が終わると、ファーストフード店で買ったハンバーガーのセットをお持ち帰りにして、公園へと向かった。


 僕たちは紙袋から食事を取り出して、食べながら、公園前にある池の流れをじっと見つめていた。
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