Kissしちゃう?
 空気が乾燥しているからか、夏場よりも返って秋冬の方が喉が乾く。


 僕は水道水をもう一杯汲んで、また乾いていた喉を潤す。


 その後、風呂場に行き、熱いシャワーを浴びて、冷え切っていた体を温める。


 体の芯から冷えていたようで、僕はシャワーを浴びながら、ゆっくりと寛ぐ。


 一人暮らしで若いからか、僕は今のアパートに来て、一度もバスタブにお湯を張ったことがない。


 つまり夏も冬もシャワーだけですっかり慣れきっていたのだ。


 僕はリンスの入ったシャンプーで髪を洗い、その後、ボディーソープを塗ったタオルで体を洗う。


 偶然にも僕は早紀と同じ柑橘系の香りがするボディーソープを使っていた。


 というか、これには実は秘密がある。


 この香りがいいボディーソープは、僕が早紀からもらったものだった。


 確か、相当前に彼女が「試しに使ってみる?」と言って、置いていったのだ。


 早紀もそれをいつも買い物するドラッグストアで試供品としてもらったようで、余って
< 68 / 111 >

この作品をシェア

pagetop