Kissしちゃう?
 僕は自分の口がコーヒー臭くなっていたので、カバンからミント味のガムを取り出して、手に取り、口臭を誤魔化す意味合いで噛み始めた。

 
 ゆっくりと二人だけの時間が流れていく。
 
 
 二人一緒に寛ぎながら、時が流れるのを待つ。

 
 やがて流れに見飽きると、早紀が、


「今からあたしの部屋に来ない?」


 と言ってきた。


「いいの?」


「いいわよ」


「じゃあ、お言葉に甘えて」
 

 僕は添えてあった紙ナプキンで口回りを拭くと、立ち上がり、食べ終わった食事のカラを近くのゴミ箱に捨てて、ゆっくりと公園で入り口に向け歩き出す。


 後から付いてくるのはいつも早紀の方だ。
 

 珍しく早紀が僕に追いつき、僕たちは二人並んで歩き出した。
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