Kissしちゃう?
 彼女が電話越しに頷き、


「じゃあ正門前で待ってるから、一緒に授業出ようね」


 と言って、僕が「ああ」と端的に返すと、電話を切った。


 僕はそれで安心して本当に軽めの朝食を取り、授業が始まるまで、心身ともに整える。


 洗顔を済ませ、髭剃りや整髪までして、リビングのテーブル前にある椅子に座り、気分が落ち着いてきたので、ゆっくりと立ち上がった。


 大抵、早紀は正門前で待つといえば、午前九時半前ぐらいだ。


 その時間ぐらいまではじっと待ってくれている。


 そして僕はその日の授業に使うテキストをパラパラと読んでいた。


 ノートを取ってくれるのは早紀なので、気分が楽だ。


 僕は授業に出席して終わったら、学園祭の準備で賑わうキャンパスを避けて、近くにあるファミレスでコーヒーでも飲みながらお喋りしようと思っていた。
 

 僕の場合、どうしても興味がある科目だけノートを取り、そうじゃないケースだと、聞き流すだけなのだ。

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