Kissしちゃう?
 高校生のときから小説を書き始めて大学へと入り、素人の延長線上ぐらいのつもりでやっていた創作がようやく形となり、実を結ぶようになっていた。


 僕は思っていた。


「必ず新人賞獲るぞ」と。


 いったん決めれば決意は固い。


 僕は公募用の原稿を開き、書き足し始めた。


 まだ完全に草稿状態で、手を入れるべき場所はいくらでもある。


 僕はカツカツカツとキーを叩きながら、ストーリーを作っていく。


 朝の涼しい時間帯なので、頭も冴え渡っていた。


 そして長い長い秋の夜が明ける。


 僕は充電器に差し込んでいたケータイを手に取り、早紀の番号を電話帳から呼び出して、掛けてみる。


 すでに午前七時で、早紀はまだ眠っているものと思われた。


 ピルルルル、ピルルルル……。
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