Kissしちゃう?
 数度繰り返し呼び出し音が鳴った後、


「はい」


 という元気な声が聞こえてきた。


 すでに早紀は起きていたらしい。


 ――起きてた?


「うん。あたしもう、真二からのモーニングコール要らないから。ちゃんと自力で起きれるように朝型になる習慣を付けたいの」


 ――そうか。……そうだね、いい加減もう大人なんだし。夜型の生活は終わりにした方がいいよ。


「分かってる」 


 とても気丈な声だった。

 
 早紀もやっと自覚したのだろうと、そのときの僕は思う。

 
 そして僕たちはその日の朝、いつも通り正門前で午前八時半に会う約束をして電話を切り、互いに身支度を整えた。

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