Kissしちゃう?
 彼女は図書館司書の免許取得のため、絶えず講習などに出かけているようで、会えない日もあった。


 ただ、そんなときでもメールをするのだけは欠かさない。


 そう、例のお休みメールだ。


 僕がバイトの最中に早紀から、<一日お疲れ様>という件名でメールが来る。


 彼女も家庭教師のバイトで夜からが多いのだが、僕がバイト中で電話に出られないことを知っていて、あえてメールを送ってくる。


 僕は仕事の合間にフリップを開いて早紀からのメールを読みながら、またバイトに精を出す。


 僕たち二人の関係は順調に行っていた。


 この町にも十二月特有の寒気が流れ出す。


 何でもないような幸せが、僕たちを包み込む。


 毎日、一緒にいるだけでもとても楽しい。


 だが、運命とは実に残酷なものだ。

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