4組の恋模様
ズッと小さな音をたててアイスコーヒーを少し飲んだ部長はにこりとわらって

「彼氏とはどんくらい付き合ったの?」

「随分プライベート突っ込みますね。話かなり逸れてるんですけどあくまで先輩なので答えます。6ヶ月です。彼は亡くなる1週間前まで私に病気のことを教えてくれませんでした。」

「病気・・・か。」

「苦しむことも無く逝ったんです。」

「佐々木は人を失う辛さを知ってるから誰かを傷付ける前に守るんだと思うよ。」

「何で部長に助けられているのかよく分からない状況なんですが。」

「ハハ。それは俺も思った。」

「本当は弱いから人の苦しみを助けれるんですよ。部長。」

「・・・そんな事を言われたのは初めてだな。」

「誰よりも弱くて誰よりも優しい。そんな人は苦しみを誰よりも理解できる。私はそう思います。」

「佐々木。」

「はい?っ・・・?」

唇に何か触れる感覚。

「・・・」

チュと小さな音をたてて離れる唇。

「遊びでしょうか。」

「チャラ男扱い?」

「違いますけど。部活も同じなので真面目な一面知ってるのでそうは思いませんよ。好きでもない相手にキスはするもんじゃないですよ。」

「そうだね。」

「・・・調子のるのも大概にしてくださいね。部長。」

にっこりと丁寧に笑ってカフェを後にする。

「ヤバイかも・・・。」

先輩の呟きは私にはきこえない。
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