4組の恋模様
「怒んないでよ。」

「さっき痛いとか言ってたけど足?」

固定された足に目を向けてしまう。

「これはあのー。裕太に。」

「過保護な裕太君にされたのね。」

「そ。で授業ダルいからここ来た。そしたらなんか屋根で寝ちゃってね。話し声するなーと思って起きたら手首痛くて。寝てる時変に曲げたみたい。よくあるからもう慣れたんだけどさぁ。」

「ちょっと・・・慣れないでよ。捻挫でもしてたらサックス吹けなくなるわ。」

「大丈夫!琴葉朝サボったってどうしたの?いつも寝坊とかしないよね。」

「吹奏楽部部長とカフェでキスしてた。」

「へぇー。部長とキスしてたんだー?ってはぁ!?」

「お前胡座かくのやめれば。」

「パンツは見えないから安心してちょーだいな。待って待って部長って愛花好きなんじゃないの!?」

「だからよくわかんなくなってるの・・・。てかキスされてたって気付いたの本当春樹に言われて再確認したっていうか・・・。」

本当にそんな感じなんだよね。

「キスしてたって何!?春樹なんで見てるのよ!」

「たまたま。」

「何か・・・不意打ちというか。」

「不意打ちでされるもんなの?」

「悪気はないんだけれど。」

「キスって結構大事でしょ?」

「分かんない。」

「そんなキョトンと可愛い顔されてもねぇ・・・。」

可愛いかどうかは置いといて。苦々しく笑う柚菜は何が言いたいのかよく分からない。

「感覚おかしくなったの?」

「おかしくなってない。正常よ。」

「おかしいけど。」

「春樹うるさい。」

「口挟まないでよ。」

「俺だけ怒られてる理由は何?」

「まぁまぁ。落ち着いて。今鈍った琴葉の感覚を直そうと頑張ってるの。」

「柚菜ネジ巻けば直ると思ってるか?」

「え。違う?」

「直んねーわ。バカ。」

「うーん・・・。」

「お前の考えはいつもズレてるんだけど。」

「ズレてないよ!」

「ちょっとだけズレてる。」

「琴葉までひどい!」
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