俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
胸ときめく妄想はさておき、専務が眼鏡のブリッジを押し上げて話を続けるので、興味津々で耳を傾ける。
「私は経営学を専攻していたので、彼が本格的に会社を立ち上げる気になったときに声をかけられたんです。『お前の知恵を貸してくれ』と」
「それで一緒に起業したんですか」
「えぇ。当時、ちょうど私も勤めていた会社に不満を持っていて、精神的にやられていたこともあって、頭がおかしくなっていたんでしょうね。“あの人が舵をとる船に乗ってみたい”だなんて、危ない賭けに出たくなったんですから」
彼は自虐的なことを言い、嘲笑を漏らす。
しかし、「その選択は間違ってなかったと今は言えるので、結果オーライですが」と補足されたので、私は安堵して頬を緩ませた。
“桐原専務は社長の片腕だ”と聞いていた通り、パーフェクト・マネジメントは、ふたりが協力して作り上げた会社なのだ。
短期間でここまでのし上がるには、私には想像できない苦労があっただろうし、衝突もしたことだろう。不破さんに対して単純に仲がいいと言えないのも、こういう背景があるからなのかもしれない。
「私は経営学を専攻していたので、彼が本格的に会社を立ち上げる気になったときに声をかけられたんです。『お前の知恵を貸してくれ』と」
「それで一緒に起業したんですか」
「えぇ。当時、ちょうど私も勤めていた会社に不満を持っていて、精神的にやられていたこともあって、頭がおかしくなっていたんでしょうね。“あの人が舵をとる船に乗ってみたい”だなんて、危ない賭けに出たくなったんですから」
彼は自虐的なことを言い、嘲笑を漏らす。
しかし、「その選択は間違ってなかったと今は言えるので、結果オーライですが」と補足されたので、私は安堵して頬を緩ませた。
“桐原専務は社長の片腕だ”と聞いていた通り、パーフェクト・マネジメントは、ふたりが協力して作り上げた会社なのだ。
短期間でここまでのし上がるには、私には想像できない苦労があっただろうし、衝突もしたことだろう。不破さんに対して単純に仲がいいと言えないのも、こういう背景があるからなのかもしれない。