俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
私だけじゃなく、これまでたくさんの社員をヘッドハンティングしてきたのだろう。あのときくれた甘い言葉の数々は、やっぱり仕事のためなのだと思うと、少しモヤッとするけれど。
エイミーは私の言葉に「そうそう」と同意すると、専務の隣で静か~にグラスを傾けている武蔵さんに話しかける。
「武蔵もどっかから引き抜かれてきたんだよね。確か、前の会社では存在感なさすぎて仕事与えられなかったんだっけ」
「そんなことあるんですか?」
失礼だとは思いつつも、半笑いで口を挟んでしまった。
体格はいいのだから存在感がありそうなものなのに、そこまで無口だとは。道端の大木みたいな存在にされてしまっていたのか。
武蔵さんは無愛想な強面を崩さずコクリと頷き、グラスを置いて今日初めて口を開いた。そして、珍しく饒舌に話しだす。
「……僕は、社長に声をかけられたあと、一応きちんと面接を受けに来たんです。そうしたら、目の前で履歴書を破られて」
「えっ!」
「『こんな紙切れ一枚でなにがわかる。あんたがどんな人間かは、俺がこの目で確かめるよ』とおっしゃられたのが、もう鳥肌モノで……」
エイミーは私の言葉に「そうそう」と同意すると、専務の隣で静か~にグラスを傾けている武蔵さんに話しかける。
「武蔵もどっかから引き抜かれてきたんだよね。確か、前の会社では存在感なさすぎて仕事与えられなかったんだっけ」
「そんなことあるんですか?」
失礼だとは思いつつも、半笑いで口を挟んでしまった。
体格はいいのだから存在感がありそうなものなのに、そこまで無口だとは。道端の大木みたいな存在にされてしまっていたのか。
武蔵さんは無愛想な強面を崩さずコクリと頷き、グラスを置いて今日初めて口を開いた。そして、珍しく饒舌に話しだす。
「……僕は、社長に声をかけられたあと、一応きちんと面接を受けに来たんです。そうしたら、目の前で履歴書を破られて」
「えっ!」
「『こんな紙切れ一枚でなにがわかる。あんたがどんな人間かは、俺がこの目で確かめるよ』とおっしゃられたのが、もう鳥肌モノで……」