俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
内心あたふたしつつ、熱くなる顔をふいっと背けた。一方の不破さんは呆れた苦笑を漏らし、諦めた口調で言う。
「アリサには敵わないよ。こんなに無理やり心を動かそうとしてくるやつは初めてだ。……で、まんまと動かされた」
最後の言葉で、私は目を見開き、背けていた顔をもとに戻す。
「じゃあ……」
「二十六日、お前も空けといて」
不破さんは少々気恥ずかしいのか、目を合わさずにそう頼む。胸が鳴ると同時に安堵した私は、笑みを浮かべて「承知しました」と答えた。
よかった、お墓参りに行く気になってくれて。それに、私を頼ってくれることも嬉しい。ほんの少し、彼の境界線に足をかけられたような気がする。
しかし、ご両親との間になにがあったのか、彼がなにを抱えているのか、今はまだわからないし、これからも教えてもらえないかもしれない。
私の境界線内には、以前宣言された通り彼が侵入してきていることは確実だけれど、その逆は難しいだろう。
それでも、この人の心を少しでも軽くするような支えになりたいと、より一層強く思った。
「アリサには敵わないよ。こんなに無理やり心を動かそうとしてくるやつは初めてだ。……で、まんまと動かされた」
最後の言葉で、私は目を見開き、背けていた顔をもとに戻す。
「じゃあ……」
「二十六日、お前も空けといて」
不破さんは少々気恥ずかしいのか、目を合わさずにそう頼む。胸が鳴ると同時に安堵した私は、笑みを浮かべて「承知しました」と答えた。
よかった、お墓参りに行く気になってくれて。それに、私を頼ってくれることも嬉しい。ほんの少し、彼の境界線に足をかけられたような気がする。
しかし、ご両親との間になにがあったのか、彼がなにを抱えているのか、今はまだわからないし、これからも教えてもらえないかもしれない。
私の境界線内には、以前宣言された通り彼が侵入してきていることは確実だけれど、その逆は難しいだろう。
それでも、この人の心を少しでも軽くするような支えになりたいと、より一層強く思った。