俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
Day & Night ―3―
秘密の恋人ごっこ
振り回されるのは疲れるから、勘弁してほしい。
……そう思っていたはずなのに、私は自ら彼の厄介そうなプライベートの部分に踏み込んでしまった。今や、献身的な気持ちで溢れている。
どうしてそうなったかというのは、考えるまでもなくなってきた。じわじわと、確実に芽吹いているのだ、彼への愛情が。
二十六日のことで軽く揉めた昨日、帰宅して冷静にここ最近の自分と向き合ってみたら認めるしかなかった。
頭の中は不破さんのことばかりで、胸がざわめいて仕方ないんだもの。やっぱり私はとっくに恋をしていたのだ。
しかし、学生の頃の“好き好き大好き!”みたいな、浮ついた感覚はない。
魅惑的な笑みとか、真剣な瞳とか、いたずらっぽい顔とか。彼の一挙一動を思い返せば鼓動は速くなるけれど、足はしっかり地についている感じ。
社長室にふたりでいる今も、業務に集中すれば意外と平静に過ごせている。仕事と恋愛、いつの間にか割り切れるようになっていたらしい。
私も大人になったんだな、なんて妙に悦に入っていると、私と同じくデスクワークをしている不破さんがふいに問いかけてくる。