俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
女の勘で確信し、テーブルに身を乗り出した私は、竹串を彼女に向けて迫る。


「なんか隠してることがあるでしょ!?」

「怖い怖い! 竹串が刃物に見える!」

「はぐらかさない」

「いや、ほんとに……っていうか、また今度話すから! 今は私のことより麗のほうが大事だよ、久しぶりの恋なんだし」


身を引き、手の平をこちらに向けて私を制した桃花は、「ほらほら、焦げちゃうよ」とたこ焼きを指差す。

ここまで言わないということは、よっぽど内緒にしておきたい話なんだろうか。だいたいなんでも話してくれる彼女にしては珍しいし、あまり追究しないほうがいいかも。


「じゃあ、話す気になったら絶対教えてよね」

「はい、必ず」


めちゃくちゃ気になるものの渋々我慢すると、桃花は背筋を伸ばしてしっかりと頷いた。仕方ない、彼女を信じることにしよう。

体勢を元に戻すと共に気を取り直し、たこ焼きをコロコロと転がしながら、久々に恋バナをし始める。


「やっぱり不破さんに落ちたかぁ。見込みありそう?」

「さぁね……あの人の頭の中はよくわかんないから。気がありそうな言葉をかけられても、からかってるだけのように思えるし」
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