俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
毎日一緒にいても、彼が私に恋愛感情を持って接しているのか、そればっかりはわからない。信頼してくれているであろうことは伝わってくるけれど。

このまま信頼関係をもっと深めていったら、彼の心を手に入れられるのだろうか。


「特別報酬は、お金じゃないものが欲しいな……」


本音を呟き、いい色に焼けたたこ焼きを自分のお皿に乗せた。桃花はそんな私を見て、ニンマリと頬を緩める。


「乙女な麗、ほんと可愛い。キュンとした」


乙女だとか言われるとめちゃくちゃ恥ずかしい。目を逸らし、照れ隠しでせかせかとソースをかけたら、たこ焼きは必要以上に茶色く染まってしまった。

桃花はクスクスと笑い、自分が食べる分を取りながら穏やかな声で言う。


「恋ができただけでもすごい進歩だけどさ、できることならうまくいってほしいよ。その好きだって気持ち、大切にね」


颯太と別れたときから私を見守ってくれている彼女だから、その言葉に温かみを感じる。

彼女の言う通り、この想いは簡単に捨てたりせずにしっかり向き合うことを誓い、はにかみつつ「ありがと」と返した。


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