俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
まさか、私が付き合っていた時期と重なっていたりしない、よね?
灰色の煙のようなもやもやが心の中に立ち込めてくるも、言い出せなかった桃花の気持ちもわかる。私は乾いた笑いをこぼし、努めて明るく振る舞う。
「そりゃーできないよね、元カノに相談とか。なんかごめんね、気を遣わせて」
「麗……」
「私のことは気にしないで。颯太にはこれっぽっちも未練ないし、桃花の恋も応援したいって思ってるから。本当に」
力強く言い切ったが、わざとらしくなってしまっただろうか。
今の言葉は嘘偽りなく本心だ。颯太とこうして再会しても懐かしい以外の感情は湧いてこないし、桃花にも好きな人とうまくいってほしい。ただ、心にくすぶる疑心の煙は、すぐに消すことはできない。
私たちの間に気まずい沈黙が流れ、颯太がフォローするように口を開こうとしたとき、ひと足早く私の隣にいた人物が一歩踏み出した。
いっけない、不破さんの存在をないがしろにしてしまっていた……!
我に返ってギクリとする私をよそに、彼は仕事モードの笑みを浮かべ、懐から取り出した名刺をふたりに差し出す。
灰色の煙のようなもやもやが心の中に立ち込めてくるも、言い出せなかった桃花の気持ちもわかる。私は乾いた笑いをこぼし、努めて明るく振る舞う。
「そりゃーできないよね、元カノに相談とか。なんかごめんね、気を遣わせて」
「麗……」
「私のことは気にしないで。颯太にはこれっぽっちも未練ないし、桃花の恋も応援したいって思ってるから。本当に」
力強く言い切ったが、わざとらしくなってしまっただろうか。
今の言葉は嘘偽りなく本心だ。颯太とこうして再会しても懐かしい以外の感情は湧いてこないし、桃花にも好きな人とうまくいってほしい。ただ、心にくすぶる疑心の煙は、すぐに消すことはできない。
私たちの間に気まずい沈黙が流れ、颯太がフォローするように口を開こうとしたとき、ひと足早く私の隣にいた人物が一歩踏み出した。
いっけない、不破さんの存在をないがしろにしてしまっていた……!
我に返ってギクリとする私をよそに、彼は仕事モードの笑みを浮かべ、懐から取り出した名刺をふたりに差し出す。