俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
こちらを横目で見る彼にもっともなことを指摘され、しばし自問自答してみる。

大学時代には友達やサークルの仲間と毎週のように飲みに行ったり、遊んだりしていたけれど、就職してからはそんな暇がなく、だんだんと疎遠になってきている。

大学に進学するときに新潟から上京してきた私には、もともと東京の友達が少なく、夢中になれるような趣味も特にない。改めて考えると、結構寂しい女だな、私。

でも、だからこそ今は仕事にとことん打ち込んでみるのもいいんじゃないかと思う。会社に使われているのは承知の上で、どこまでやれるか試してみたい。


「……辞めません、今はまだ。自分がどれだけ仕打ちに耐えられるか、突き詰めてみるのもアリかなって」

「なるほど。それはドエ──」

「ドMですよね、わかってます」


不破さんが言おうとしたことはなんとなくわかったので、真顔で被せた。

自覚はあるのだ。普段わりとサバサバしているせいもあってか、Sっぽいと思われることが多いようだけど、基本攻められるほうが好きだから。

って、今はそんなことはどうでもいい。

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