俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「これから状況がいいほうに変わることだってあるかもしれないじゃないですか。一年働いたくらいで見切りをつけるのは早すぎる気がして。こうしてるうちに逞しくなれそうだし、もう少し頑張ってみます」
吸い込まれそうな空に目線を上げ、願いも込めて明るい口調で言った。
そんな私を見て、不破さんは形のいい唇の端をゆるりと上げる。優艶なその笑みに、一瞬目が奪われる。
「彼氏はもったいないことしたかもな」
「え?」
「あんた、いい女になるよ。たぶん」
ドキン、と心臓が突き動かされた。
なにを持ってそう言うのかわからないし、お世辞かもしれない。けれど、私にそんな可能性を見出してくれたのだとしたら、素直に嬉しい。
内心どぎまぎしていると、不破さんは真面目な表情になって言う。
「せめて三年働いてみろ。そうすれば、会社の悪いところもいいところもだいたい見えてくる。でも身体を壊してまで働く必要はないから、そうなったらすぐ辞めろよ」
入社五年目の彼の言葉には説得力がある。私は今のアドバイスを心に留めながら、無意識に姿勢を正し、「わかりました」と答えた。
すると、不破さんはさらにこう付け足す。
吸い込まれそうな空に目線を上げ、願いも込めて明るい口調で言った。
そんな私を見て、不破さんは形のいい唇の端をゆるりと上げる。優艶なその笑みに、一瞬目が奪われる。
「彼氏はもったいないことしたかもな」
「え?」
「あんた、いい女になるよ。たぶん」
ドキン、と心臓が突き動かされた。
なにを持ってそう言うのかわからないし、お世辞かもしれない。けれど、私にそんな可能性を見出してくれたのだとしたら、素直に嬉しい。
内心どぎまぎしていると、不破さんは真面目な表情になって言う。
「せめて三年働いてみろ。そうすれば、会社の悪いところもいいところもだいたい見えてくる。でも身体を壊してまで働く必要はないから、そうなったらすぐ辞めろよ」
入社五年目の彼の言葉には説得力がある。私は今のアドバイスを心に留めながら、無意識に姿勢を正し、「わかりました」と答えた。
すると、不破さんはさらにこう付け足す。