俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
よく考えてみれば、草食系の颯太がガツガツするわけないか。今日も手を繋ぐので精一杯だったのかも。

ひとり納得する私の前で、桃花は颯太の告白を思い出したのか、小さくなって若干頬を染めていた。可愛いな、とほっこりしながら問いかける。


「で、返事は?」

「保留。麗に全部打ち明けてからにしたかったから。颯ちゃんもそれは重々承知してるから、待ってくれてるよ」

「そっか」


きっと、今日私たちが遭遇しなくても、桃花は覚悟が決まったときにこうやって話すつもりだったはず。心に余裕がでてきた今はそう信じられる。

温かいティーカップを両手で持ち、紅茶に口をつける私に、桃花は再び眉を下げて謝る。


「ずっと黙ってて、本当にごめん。あんなふうに知ったら、誰だって嫌な気分になるよね。しかも、友達の元カレと、なんて……。軽蔑した?」


耳が垂れ下がった犬みたいにシュンとするから、私は彼女を元気づけたくてあっけらかんと笑い飛ばした。


「するわけないじゃん。桃花が言い出せなかったのもよくわかるし、自分のことばっかりで桃花のことわかってあげられてなかった私も私だから」
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