俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「けじめ?」

「はい。私も母と仲違いしたまま疎遠になってるんです。離婚した父と会わせてもらえなかったことが原因で」


すべてを話してくれた彼に、私も自分の問題を打ち明けた。

神妙な顔をさせてしまったけれど、あなたのおかげで、私もほんの少しだけ変わることができたんだ。


「雪成さんの事情を少しだけ耳にしたときから、私も後悔する前に仲直りしたいと思うようになって。この間、やっと私から電話して、母と話すことができました。この年末年始、数年ぶりに実家に帰るつもりです」


実はクリスマスイブイブの二十三日、決心して実家に電話をしていたのだ。

怒られる覚悟でかけたのだが、母は予想に反して泣くほど喜んでくれて、『今まで麗の気持ちを無視しちゃっていてごめんね』と謝ってくれた。自分勝手に拒否していたのは私なのに。

当時の母は、もう親は自分だけなのだという頑なな思いから私を父から遠ざけようとしたが、時間が経って、もっと柔軟に対応すればよかったと後悔していたのだそう。

私のことをずっと考えてくれていた彼女をぞんざいに扱ってしまったことを、私も深く反省して謝り、なんとか和解できたのだった。
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