俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
一体どうしたのだろう。父の詳しい話をした途端、どうしてそんなふうに怖い顔を……。

突然の彼の変化に戸惑うも、私がなにかを聞けるような雰囲気ではなくて、車内は重苦しい沈黙に包まれていた。


それから年末休業が始まるまでの数日間、雪成さんの態度はいつも通りといえばいつも通り。

ただ、なんとなくよそよそしく感じるのは、話すことは仕事の件ばかりだからだろうか。クリスマスの翌日は、わざと私が困るような軽口を叩いてきたのに、この数日は特別報酬の件も出されないし……。

会社では社長と秘書として振る舞うつもりでいたからこれでいいはずなのに、やっぱり心に引っかかる。

お墓参りをしたあとのあの会話に、なんの問題があったの?


考えてもわからず、悶々とした気持ちのまま仕事納めをした今日、本社勤務の人だけでなく委託先で働いている社員も集めた忘年会が開かれている。

本社以外の社員は委託先によって休日がまちまちだが、本社は三十日から翌月三日までが休みだ。

掘りごたつの席がずらりと並んだ居酒屋の大広間に、七十名ほどの社員が集まっている。雪成さんから簡単な挨拶があったあと、それぞれが周りの人たちと「今年もお疲れ様でした~!」とグラスを合わせて乾杯した。
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