俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
華麗なる下剋上
──それから、約四年。結局私は、今もブラックな会社にこき使われている。
二十七歳になり、友達からの結婚報告が増えてきた。子供が産まれた人もいる。
私はいまだに独り身だ。颯太と別れて以来、合コンや街コンに参加してみたり、気が合いそうな人を紹介されたりしたものの、付き合うまでには至っていない。
だいぶ切ない状況だが、唯一救われるのは同居人の親友もフリーだということ。
約二ヶ月後に迫っているクリスマスは、今年も彼女とふたりで気楽にパーティーをすることになりそうだ。
仕事は相変わらず忙しいものの、だいぶ慣れて要領も掴めたせいか、以前ほどの辛さは感じなくなっている。
入社してから、来年の四月で丸五年が経つ。
……不破さん、私、なんとか諦めずにやってきましたよ。でも、いいことなんて起こりそうにない。
いい区切りだし、今以上に待遇が良くなることもなさそうだし……私も、そろそろ潮時かな。
懐かしい彼のことをたびたび脳裏に蘇らせながら、五年の節目で転職しようと考えていた。