俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「お客さん、もうお食べにならないの? ……あら、顔色が悪いけど大丈夫かしら? タクシー呼びましょうか」
「いえ、平気です。残してしまって、申し訳ありません」
とても心配そうに親身にしてくれる彼女には少々罪悪感を抱きつつ、頭を下げる。彼女は最後まで優しく、「気になさらないで。お大事にしてください」と気遣ってくれた。
会計して逃げるように外へ出れば、東京よりずっと身体に堪える寒さが待ち受けていた。道路脇には汚れた雪が溜まっている。
寒さのおかげで胸糞の悪さも気にならなさそうだと思いながら、なんとなくスマホを取り出すと、まだ麗に返信していなかったことを思い出した。
今はまったく食欲はないが、ほとんど食べていないのだから帰る頃には腹は減っているだろう。というより、彼女の手料理を食べればこの気分も上向きにしてもらえそうな気がする。
“アリサの手料理、食いたい”とメッセージを送り、駅へ行くため近くのバス停へと足を向ける。
……早く、麗に会いたい。
このぐちゃぐちゃになった気持ちを宥めて、安らかにしてくれるのはあの子しかいない。なぜだか彼女には甘えてしまうのだ。
「いえ、平気です。残してしまって、申し訳ありません」
とても心配そうに親身にしてくれる彼女には少々罪悪感を抱きつつ、頭を下げる。彼女は最後まで優しく、「気になさらないで。お大事にしてください」と気遣ってくれた。
会計して逃げるように外へ出れば、東京よりずっと身体に堪える寒さが待ち受けていた。道路脇には汚れた雪が溜まっている。
寒さのおかげで胸糞の悪さも気にならなさそうだと思いながら、なんとなくスマホを取り出すと、まだ麗に返信していなかったことを思い出した。
今はまったく食欲はないが、ほとんど食べていないのだから帰る頃には腹は減っているだろう。というより、彼女の手料理を食べればこの気分も上向きにしてもらえそうな気がする。
“アリサの手料理、食いたい”とメッセージを送り、駅へ行くため近くのバス停へと足を向ける。
……早く、麗に会いたい。
このぐちゃぐちゃになった気持ちを宥めて、安らかにしてくれるのはあの子しかいない。なぜだか彼女には甘えてしまうのだ。