俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「え、珍しい」


思わずそう声にしてしまった相手は、桐原専務。彼とは連絡先を交換したものの、個人的なやり取りをしたことはほとんどない。

わざわざ新年の挨拶か、とマメな彼に感心して内容に目を通す。


【あけましておめでとうございます。新年早々すみませんが、明日私とデートしていただけませんか?】


は? デート?

唐突な誘いに目が点になる。


「……イクミン、送る相手間違えてない?」


独り言を漏らして画面を見つめたままでいると、続けてもうひとつメッセージが届いた。


【私が新潟に行きます。社長のことも、少しお話させてください】


どうやら間違いではなかったらしい。それより、雪成さんのことを出されたら断る気など起きなくなる。

昨日から、父の店と雪成さんの繋がりの可能性について、ずっと考えているのだ。もしかしたら、桐原さんならなにか知っているかもしれない。

まず新年の挨拶を返したあと、【明日、会いましょう。私もお聞きしたいことがあります】と送り、待ち合わせの時間や場所を決めていった。

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