俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
気になっていたことが一気に知れて、私は大きく目を見開いた。信じられないが、私と雪成さんのお父様はやはり繋がっていたのだ。


「やっぱり、そうだったんですね!」

「ご存じでしたか?」

「はい。父は友人の頼みでリオンを再び開店させたと、つい先日母から聞きました。私もその友人が社長のお父様じゃないかと思って、桐原さんにお聞きしたかったんです。まさか、本当にそうだったなんて……」


奇跡的な偶然に驚きを隠せず、鼓動も速まる。瞠目する私に、桐原さんは少し眉根を寄せて尋ねてくる。


「頼みで、というのはどういうことです?」

「社長のお父様が店を閉めることに決めたあと、いつかまたやってくれと頼まれていたそうなんです。詳しいことはわかりませんが」


母から聞いたことをそのまま伝えると、彼は若干動揺した様子で片手を口元に当て、ボソッと独り言を呟く。


「悪意があってのことじゃなかったのか……」

「え?」


なんだか物騒な言葉が飛び出し、私の表情が強張る。

一体どういうことなのかと目を見張って数秒、桐原さんは中指で眼鏡を押し上げ、私を見据えてこう言った。
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