俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
しかし、雪成さんの表情は次第に暗くなっていく。


「それなのに俺は疑って、憎むことしかできなかった。本当に申し訳なかったと思ってる」


肩を落として再び謝る彼に、私は慌てて首を横に振った。

誰も悪くないし、最終的になんの問題も起こらなかったのだ。自分を責める必要などない。


「もう謝らないでください。……それよりも、愛してほしいです」


大胆なひとことが自然とこぼれ、わずかに驚きを含んだ彼の瞳がこちらに向けられた。

私は膝の上できゅっと手を握り、その綺麗な瞳をまっすぐ見つめ返す。


「私も、雪成さんの全部を受け止められる存在になってみせます。だから、ずっとそばに──」


切実な想いを口にしていた途中、彼の唇で塞がれて最後まで言葉にできなかった。

重なった唇が少しだけ離され、熱い視線が絡み合う。


「麗はとっくに必要不可欠な存在になってるよ。そうじゃなきゃ、俺は今ここにいない」


流れる水音を掻き消し、彼の声だけが耳に届く。安堵とときめきを同時に感じていると、片手で彼の胸に抱き寄せられた。


「離れられるわけなかったんだ。俺が愛せるのはお前しかいないんだから」
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