俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
ずっと望んでいた言葉がもらえて、瞳にじわりと涙が滲んだ。

ようやく両想いになれたのだと、心から実感できる。掴んでいないとどこかへ行ってしまいそうだった彼は、しっかり私のそばにいてくれている。

それでもやっぱり、もっとくっつきたいのが乙女心。恥を捨て、彼の腰に腕を回してぎゅっと抱きついた。


東京に着くと、一緒に雪成さんのマンションへ帰り、なにも言わなくても示し合わせたかのように真っ先にベッドルームへ向かった。

離れていた期間は短いのに、ずいぶん長いこと触れ合っていなかった気がする。お互い焦燥に駆られながらも、じっくりと味わうようなキスと愛撫を繰り返して、身体はとろとろに溶かされていった。

私の中に彼の熱を迎え入れると、指を絡めて快楽の波にさらわれそうになるのを堪える。 

ただ、甘ったるい声を漏らすのだけは堪えられない。喘ぐ私に、呼吸を乱した雪成さんが、少し苦しげでセクシーな声で「麗」と呼ぶ。


「愛してる」


次いで囁かれた言葉に反応して、私は閉じていた瞼を押し上げた。


「伝えるの、遅くなってごめん」


私を見下ろす彼の色っぽく情熱的な表情が、瞳に張る膜でぼやけていく。
< 241 / 261 >

この作品をシェア

pagetop