俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「突然の話で驚かれたことと思いますが、皆さんは今まで通りの仕事をしてください。本社は新宿に移りますが、ここは支店としてこのまま機能させていくつもりです。今後の待遇は、これまでよりも確実に良くなることをお約束しますので、ご安心を」


その言葉で、社員一同が安堵のため息を漏らした。

どうやら、私たちはこれまでと同じ仕事内容でいいらしい。にもかかわらず待遇が良くなるだなんて、まさに棚ぼただ。

しかし、皆が目を輝かせ始める中、お偉い様方はじっとして縮こまっているように見える。

「変動があるのは、主に役職者です」という不破さんの言葉が聞こえ、彼らはあからさまにギクリとした。

身体を強張らせる彼らを冷ややかな目で捉えた不破さんは、その瞳と同じく声色を氷のように冷たく変化させる。


「年功序列制度に甘え、高い給料をもらっておきながら、それ相応の仕事をしていないと私が判断した方は、即降格もありうる……と、先ほど役職者全員にお話ししました。まぁ、そんなクズ野郎はいらっしゃらないと思いますが」


口元にだけ冷淡な笑みを浮かべる彼の言葉は、威圧感がありまくりで、完全なる嫌味だ。なにげに口が悪いし。

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