俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
彼が私に言った、『五年目まで頑張ったら、もっといいことがあるかもしれない』という言葉。

その意味は、“五年目まで残っていれば、俺が助けてやるよ”ということだったのかもしれない。

きっと不破さんはあのときから、自ら会社を立ち上げ、それを四年で起動に乗せ、プロバイドフーズを買収する具体的な予想図を描いていたのだろう。

そして、それを有言実行してみせた。……なんて人だ。

脱帽すると共に、よくわからない胸の高鳴りを覚え、会議室を出ていく彼をドキドキしながら見送る。

惚けている私に溝口さんが顔を近づけ、興奮気味にコソッと言う。


「あんなに若いのに威厳があるっていうか、カリスマって感じね。あの人が乗っ取ってくれたおかげで、私たち救われたのかもしれないわよ」

「はい……救世主です、彼は」


彼女の言葉に頷き、私はそう確信していた。

これで会社がホワイトに生まれ変わったら、私は三度も助けてもらったことになるんだもの。

ここまで頑張ってきた甲斐があった。

それに、彼にまた会えてよかった──。心からそう思った。


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