俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「へぇー、業界内じゃ結構有名みたいだね。起業して四年で、従業員数二百名にまで成長させたって。買収までするなんてすごすぎ」


なにかの記事を見つけたらしく、桃花にスマホを渡される。受け取って見てみれば、会社のホームページや取引先のレストランの情報が映されていた。

プロバイドフーズと業種は同じだけれど、さらにレストランビジネスについてのノウハウを提供するコンサルティング業務も行っているらしい。

取引先のレストランも、都内が主だったプロバイドフーズに対して、パーフェクト・マネジメントは全国に展開している。

わずか四年の間にここまで成長しているのだから、まさに新進気鋭だろう。

感心しながら画面をスクロールしていると、不破さん自身について書かれた記事を見つけたので、タップしてみる。


「“調理師から成り上がった異端児”か……」


抜粋して読み上げ、いまだに信じられない気持ちで唸った。

調理師時代から独特な雰囲気を持つ人だとは思っていたけど、まさかこんなやり手社長になられてしまうとは。人生ってなにが起きるかわからない。
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