俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
困惑しまくっている私をよそに、不破社長は扉から手を離し、それは静かに閉まってしまった。
あぁっ、私降りたかったのに!と物申したくても、すでにエレベーターは上昇を始めているため、諦めるしかない。
五階に向かうわずかな間に、社長は胸元から取り出した名刺らしきものに、なにやらペンを走らせている。
「今夜、仕事が終わったらここに来てくれ。場所は六本木」
そう言い、手渡されたものはやはり名刺で、裏になにかのお店らしき名前と簡単な住所が書かれていた。
ここで待ち合わせするってこと? 不破社長様と? いきなりハードル高っ!
受け取ったまま固まっていると、彼が小首を傾げて顔を覗き込んでくる。
「いいか?」
「は、はい……!」
思わず承諾してしまった。いや、たとえ予定があったとしても断る勇気はないのだけど。
私の返事を聞き、満足げな笑みを浮かべた社長は、開いた扉に向かって足を踏み出す。そして降りる直前、四階のボタンをトンッと押してこちらを振り返った。
「待ってる」
たったそれだけのひとことにさえドキッと反応してしまう私の心臓は、一体どうしてしまったんだろうか。
あぁっ、私降りたかったのに!と物申したくても、すでにエレベーターは上昇を始めているため、諦めるしかない。
五階に向かうわずかな間に、社長は胸元から取り出した名刺らしきものに、なにやらペンを走らせている。
「今夜、仕事が終わったらここに来てくれ。場所は六本木」
そう言い、手渡されたものはやはり名刺で、裏になにかのお店らしき名前と簡単な住所が書かれていた。
ここで待ち合わせするってこと? 不破社長様と? いきなりハードル高っ!
受け取ったまま固まっていると、彼が小首を傾げて顔を覗き込んでくる。
「いいか?」
「は、はい……!」
思わず承諾してしまった。いや、たとえ予定があったとしても断る勇気はないのだけど。
私の返事を聞き、満足げな笑みを浮かべた社長は、開いた扉に向かって足を踏み出す。そして降りる直前、四階のボタンをトンッと押してこちらを振り返った。
「待ってる」
たったそれだけのひとことにさえドキッと反応してしまう私の心臓は、一体どうしてしまったんだろうか。