俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
十六階のフロアはとても広々としていて、七十人ほどがワンフロアで働いていてもまったく窮屈に感じない。
解放感のある窓の外には、高い建物に囲まれていた元・プロバイドフーズのビルからは見えなかった景色が広がっている。
高層ビル内で働くというだけで、自分がキャリアウーマンにでもなったかのような気がしてしまうのは、根っこの部分が田舎者だからだろうか。
心を弾ませていた私は、専務に案内された社長室を見て驚いた。一面ガラス張りで、中の様子が丸見えなのだ。
これもプロバイドフーズでは考えられない。社員とは隔離された場所に壁で隔てた一室があり、中でなにをしているかわからないその部屋が社長室だったから。
こんなにオープンなら、やましいことはできないんだろうな……と、妙な視点で見てしまっている間にも、専務は「失礼します」と声をかけてガラスのドアを開けた。
入って正面のデスクに座っている不破社長は、ノートパソコンを開いて作業をしており、デスクの向かい側にふたりの男女が立っている。
こちらに背を向けているふたりは、私たちに気づいているのかいないのか、社長と向き合ったまま。後ろ姿からも可愛さを感じる女性が、熱心に話し続ける。
解放感のある窓の外には、高い建物に囲まれていた元・プロバイドフーズのビルからは見えなかった景色が広がっている。
高層ビル内で働くというだけで、自分がキャリアウーマンにでもなったかのような気がしてしまうのは、根っこの部分が田舎者だからだろうか。
心を弾ませていた私は、専務に案内された社長室を見て驚いた。一面ガラス張りで、中の様子が丸見えなのだ。
これもプロバイドフーズでは考えられない。社員とは隔離された場所に壁で隔てた一室があり、中でなにをしているかわからないその部屋が社長室だったから。
こんなにオープンなら、やましいことはできないんだろうな……と、妙な視点で見てしまっている間にも、専務は「失礼します」と声をかけてガラスのドアを開けた。
入って正面のデスクに座っている不破社長は、ノートパソコンを開いて作業をしており、デスクの向かい側にふたりの男女が立っている。
こちらに背を向けているふたりは、私たちに気づいているのかいないのか、社長と向き合ったまま。後ろ姿からも可愛さを感じる女性が、熱心に話し続ける。