俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
少々気の毒な気分を抱え、十階でエレベーターを降りた。角部屋の前に到着すると、彼は鍵を開けながら言う。
「頼みたいことはまだ他にもあるんだが……とりあえず、どうぞ」
他になにが?と気になるも、開けられたドアの向こうの空間に意識を持っていかれる。
まず正面に見えたのは、白い壁に黒のインテリアで統一されたセンスのよいリビングダイニング。そこに向かって廊下を進むと、右手にはキッチンがある。
きちんと整頓されており、調理台もピカピカで、ここは掃除は必要ないことがすぐにわかった。
「綺麗なキッチン!」
「このキッチンも決め手だったんだ。最初から設備が整ってたし、なにげに動線がいい」
私のあとからついてきた社長の言葉に、思わず笑ってしまう。
“動線”っていう言い方が独特で。きっと厨房で働いていたときに使っていたんだろう。
なにより、今でも料理が好きなのであろうことがわかって嬉しい。調理に直接係わっている姿を見ていなくて、少し寂しく感じていたから。
このキッチンの中に立つ彼を想像すると、やっぱり似合うなと思うし、なんだか心が温かくなる。
「頼みたいことはまだ他にもあるんだが……とりあえず、どうぞ」
他になにが?と気になるも、開けられたドアの向こうの空間に意識を持っていかれる。
まず正面に見えたのは、白い壁に黒のインテリアで統一されたセンスのよいリビングダイニング。そこに向かって廊下を進むと、右手にはキッチンがある。
きちんと整頓されており、調理台もピカピカで、ここは掃除は必要ないことがすぐにわかった。
「綺麗なキッチン!」
「このキッチンも決め手だったんだ。最初から設備が整ってたし、なにげに動線がいい」
私のあとからついてきた社長の言葉に、思わず笑ってしまう。
“動線”っていう言い方が独特で。きっと厨房で働いていたときに使っていたんだろう。
なにより、今でも料理が好きなのであろうことがわかって嬉しい。調理に直接係わっている姿を見ていなくて、少し寂しく感じていたから。
このキッチンの中に立つ彼を想像すると、やっぱり似合うなと思うし、なんだか心が温かくなる。