俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「……不破さんらしい」
四年前の彼の姿が脳裏に蘇り、緩んだ口から無意識にぽつりと独り言がこぼれた。
キッチンからなんとなく隣に目線を向ければ、じっとこちらを見つめる彼と目が合う。その瞬間、はっとした。
ヤバい、ついあの頃の呼び方を口にしてしまった。突然“さん付け”したらおかしいよね!?
「あっ、すみません! なんで私、急に馴れ馴れしく……」
「あんた、ほんと真面目だな」
内心あたふたする私を見て、社長は呆れたように笑う。
「いいよ、好きなように呼んで。“不破っち”とか、雪成だから“ゆっきー”とか」
「それはちょっと」
軽く手の平を向けて正直に拒否すると、彼はむっと仏頂面になった。
さすがにそこまでフランクにはなれない。センスがあるのかないのか、微妙なあだ名だし。
でも、通常の仕事からは離れたのだから、もう少し気楽に接してもいいのかな。桐原専務が言っていた通り、距離が縮まりそうな気もする。
「……じゃあ、社外では不破さんで」
しばし考えたあと、無難に呼ぶことにした。むしろ、私にとってはこの呼び方が一番しっくりくるから。
四年前の彼の姿が脳裏に蘇り、緩んだ口から無意識にぽつりと独り言がこぼれた。
キッチンからなんとなく隣に目線を向ければ、じっとこちらを見つめる彼と目が合う。その瞬間、はっとした。
ヤバい、ついあの頃の呼び方を口にしてしまった。突然“さん付け”したらおかしいよね!?
「あっ、すみません! なんで私、急に馴れ馴れしく……」
「あんた、ほんと真面目だな」
内心あたふたする私を見て、社長は呆れたように笑う。
「いいよ、好きなように呼んで。“不破っち”とか、雪成だから“ゆっきー”とか」
「それはちょっと」
軽く手の平を向けて正直に拒否すると、彼はむっと仏頂面になった。
さすがにそこまでフランクにはなれない。センスがあるのかないのか、微妙なあだ名だし。
でも、通常の仕事からは離れたのだから、もう少し気楽に接してもいいのかな。桐原専務が言っていた通り、距離が縮まりそうな気もする。
「……じゃあ、社外では不破さんで」
しばし考えたあと、無難に呼ぶことにした。むしろ、私にとってはこの呼び方が一番しっくりくるから。