俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
「あっははは、今時木彫りの熊って! おじいちゃんち以外で久々に見たよ! アリサのその昭和っぽいチョイス、超ウケる~」
「センスいいだろ、俺」
ケラケラと笑ってけなしていたエイミーの横に、たった今やってきた不破社長様がぬっと顔を覗かせた。その顔には口元にだけ笑みが浮かんでいて、私はギョッとする。
口をつぐんだエイミーも、今の彼のひとことで、この置物を買ったのは私ではないことに気づいたらしく、“しまった”という顔をする。
「えっ、まさか、この昭和感漂うチョイスはボスの……!?」
「アリサ、レストランの抜き打ちチェック行くよ」
表情を強張らせるエイミーに構わず、不破さんは黒いコートをバサッと羽織り、私に声をかけてさっさと出ていく。冷笑を浮かべるだけでなにも言わないのが逆に怖い。
とりあえず私も行かなければと、エイミーに「じゃあね」と小さく告げ、そそくさと上着を持って彼を追いかける。
後ろから、「ごめんなさぁぁい! 一周回って可愛いですぅ~!」と叫ぶ声が響き渡った。
エイミーの叫びに笑いそうになるのを堪えてエレベーターに乗り込むと、一階のボタンを押す不破さんが淡々と言う。
「センスいいだろ、俺」
ケラケラと笑ってけなしていたエイミーの横に、たった今やってきた不破社長様がぬっと顔を覗かせた。その顔には口元にだけ笑みが浮かんでいて、私はギョッとする。
口をつぐんだエイミーも、今の彼のひとことで、この置物を買ったのは私ではないことに気づいたらしく、“しまった”という顔をする。
「えっ、まさか、この昭和感漂うチョイスはボスの……!?」
「アリサ、レストランの抜き打ちチェック行くよ」
表情を強張らせるエイミーに構わず、不破さんは黒いコートをバサッと羽織り、私に声をかけてさっさと出ていく。冷笑を浮かべるだけでなにも言わないのが逆に怖い。
とりあえず私も行かなければと、エイミーに「じゃあね」と小さく告げ、そそくさと上着を持って彼を追いかける。
後ろから、「ごめんなさぁぁい! 一周回って可愛いですぅ~!」と叫ぶ声が響き渡った。
エイミーの叫びに笑いそうになるのを堪えてエレベーターに乗り込むと、一階のボタンを押す不破さんが淡々と言う。