俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
まださばけていない伝票の束、盛り付け途中の料理、シンクに溜まった大量の洗い物。普段からこんな感じなのかはわからないが、とにかく忙しそう。
入り口付近にある水道で手を洗う不破さんに、ひとりの男性スタッフが焦燥感たっぷりに説明する。
「先ほど、料理長が急に具合が悪くなってしまって、厨房に立てない状態なんです。こういうときに限って、ランチメニュー以外の料理や、オーブンを使う料理のオーダーが集中して……」
「それでテンパってると」
事情を聞いて納得したらしい不破さんは、洗い終わった手を拭き、注文伝票を広げてざっと目を通す。
そして、調理の進み具合を確認しながら、冷静に声をかける。
「間に合ってないところは俺が補助をする。あんたらはまず落ち着いて、俺の指示通りに動け」
その言葉で、厨房内に驚きの声が上がった。社長直々に手伝うというのだから、無理もないだろう。
胸を打たれているのは私だけかもしれない。不破さんならここでの作業はお手の物のはずだし、絶対になんとかしてくれるという信頼があるから。
皆がざわめく中、不破さんはできている料理を盛りつけ始め、同時に淡々と指示を出す。
入り口付近にある水道で手を洗う不破さんに、ひとりの男性スタッフが焦燥感たっぷりに説明する。
「先ほど、料理長が急に具合が悪くなってしまって、厨房に立てない状態なんです。こういうときに限って、ランチメニュー以外の料理や、オーブンを使う料理のオーダーが集中して……」
「それでテンパってると」
事情を聞いて納得したらしい不破さんは、洗い終わった手を拭き、注文伝票を広げてざっと目を通す。
そして、調理の進み具合を確認しながら、冷静に声をかける。
「間に合ってないところは俺が補助をする。あんたらはまず落ち着いて、俺の指示通りに動け」
その言葉で、厨房内に驚きの声が上がった。社長直々に手伝うというのだから、無理もないだろう。
胸を打たれているのは私だけかもしれない。不破さんならここでの作業はお手の物のはずだし、絶対になんとかしてくれるという信頼があるから。
皆がざわめく中、不破さんはできている料理を盛りつけ始め、同時に淡々と指示を出す。