俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
休憩中でもあり、仕事の関係は抜きにして話してほしい気持ちもあって、“社長”とは呼ばずに質問してみた。
ピクリと反応して私と視線を合わせた彼は、静かに目を伏せる。その表情に一瞬影が落ちたように見え、胸がわずかにざわめく。
お互い料理に手をつけずに数秒沈黙したのち、不破さんがゆっくり口を開く。
「続ける意味がなくなったから、かな」
伏し目がちなまま口にされた声もどことなく暗然としていて、シェフを辞めたことにはなにか深い事情があるのでは、と漠然と感じた。
「でも、こっちのほうが性に合ってんのかも、って最近は思うよ」
そう言って目線を上げた彼は、すでにいつもの微笑を浮かべていて、「あー腹減った」と独り言をこぼして食事を始める。
なんだかますます気になるものの、それ以上は聞くことができず、私もフォークを手に取った。
“意味がなくなった”……か。じゃあ、不破さんはなんのために調理師になったのだろう。
新たな謎が深まってしまい、私は柔らかなハンバーグを味わいながら、綺麗な所作で食事をする彼を密かに見つめていた。
ピクリと反応して私と視線を合わせた彼は、静かに目を伏せる。その表情に一瞬影が落ちたように見え、胸がわずかにざわめく。
お互い料理に手をつけずに数秒沈黙したのち、不破さんがゆっくり口を開く。
「続ける意味がなくなったから、かな」
伏し目がちなまま口にされた声もどことなく暗然としていて、シェフを辞めたことにはなにか深い事情があるのでは、と漠然と感じた。
「でも、こっちのほうが性に合ってんのかも、って最近は思うよ」
そう言って目線を上げた彼は、すでにいつもの微笑を浮かべていて、「あー腹減った」と独り言をこぼして食事を始める。
なんだかますます気になるものの、それ以上は聞くことができず、私もフォークを手に取った。
“意味がなくなった”……か。じゃあ、不破さんはなんのために調理師になったのだろう。
新たな謎が深まってしまい、私は柔らかなハンバーグを味わいながら、綺麗な所作で食事をする彼を密かに見つめていた。