還魂―本当に伝えたかったこと―
act:捧げた愛の行方
***

「ん……朝?」

 カーテンの隙間から差し込む、明るい日差しで目が覚めた。ゆっくり体を起こしてみたら、少しだけめまいがする。

「洸に私の寿命……ちゃんとあげることができたのかな」

 昨夜見たシルバーの姿を思い出す。

 ベッドで横たわったまま見上げた状態だったけど、いつも被っているフードを外し、白金髪をなびかせて大鎌を構えたシルバーは、不覚にも恰好良かった。

「きっと、大丈夫だよね」

 私の願いを叶えてくれた理由は、いまだに分からない。最初は洸を交通事故に遭わせるという態度だったのに、突然私の願いを聞き入れて、昨夜大鎌を使って何かを施してくれた。

 人間の自分にはそれが見えないけれど、姿が消える前まで真摯な姿勢でいたことは、とても安心できた。

 だからこそ、あのぶっきらぼうな死神を信じてみようって思える。

 ふらつく重い体を引きずりながら何とか着替えを済ませ、リビングに向かった。休みたいのは山々なれど、仕事の関係でどうしてもお休みできないので、気合いを入れて頑張ることにした。
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