還魂―本当に伝えたかったこと―
***
廣田は1週間、大学に姿を見せなかった。
憧れていた加藤先輩の死は廣田同様に俺にもかなりのダメージがあって、毎日思い出を引きずり出しては悲しんでいた。
沈んだ気持ちをそのままに、大学の構内を歩いていると右肩をばしばしっと叩かれた。
「水留っ!」
この声は――。
「廣田……」
「何よぅ、幽霊にでも会ったような顔して」
無駄に元気に振る舞う廣田を見ると、痛々しくてたまらない。黙ったまま、目の前にある顔を見つめた。
「あのね、今日一緒に帰れるかな?」
こうしてわざわざ声をかけてきたことで、ピンときてしまった。
廣田に返事をせずにポケットから携帯を取り出して、バイト先に電話する。
「ゴホッゴホッ……。ずびまぜん水留ですが、店長いますか? あっ店長お疲れ様でず、水留でず。病院に行ったらインフルエンザって言われたので、3日間程休みもらえましぇんかね? はいはい、ずみまぜん有り難うございまず」
仮病を使ったことで若干胸を痛めつつ、携帯を切った俺を見ながら大爆笑する廣田。
「ちょっと何、今の!? 大根役者ぶりったらないよ」
お腹を抱えてカラカラ笑いながら、その場にうずくまった。
「廣田?」
俺はそれ以上、何も言えなかった。ポロポロと涙を流しはじめたアイツに、声をかけられなかったのである。
(無理して、カラ元気だしやがって――)
「水留、ありがとうね……」
佇む俺に泣き顔でお礼を言った廣田の腕を強引に掴んで、外へ促した。こんな姿を誰にも見られたくないと思ったから。
廣田は1週間、大学に姿を見せなかった。
憧れていた加藤先輩の死は廣田同様に俺にもかなりのダメージがあって、毎日思い出を引きずり出しては悲しんでいた。
沈んだ気持ちをそのままに、大学の構内を歩いていると右肩をばしばしっと叩かれた。
「水留っ!」
この声は――。
「廣田……」
「何よぅ、幽霊にでも会ったような顔して」
無駄に元気に振る舞う廣田を見ると、痛々しくてたまらない。黙ったまま、目の前にある顔を見つめた。
「あのね、今日一緒に帰れるかな?」
こうしてわざわざ声をかけてきたことで、ピンときてしまった。
廣田に返事をせずにポケットから携帯を取り出して、バイト先に電話する。
「ゴホッゴホッ……。ずびまぜん水留ですが、店長いますか? あっ店長お疲れ様でず、水留でず。病院に行ったらインフルエンザって言われたので、3日間程休みもらえましぇんかね? はいはい、ずみまぜん有り難うございまず」
仮病を使ったことで若干胸を痛めつつ、携帯を切った俺を見ながら大爆笑する廣田。
「ちょっと何、今の!? 大根役者ぶりったらないよ」
お腹を抱えてカラカラ笑いながら、その場にうずくまった。
「廣田?」
俺はそれ以上、何も言えなかった。ポロポロと涙を流しはじめたアイツに、声をかけられなかったのである。
(無理して、カラ元気だしやがって――)
「水留、ありがとうね……」
佇む俺に泣き顔でお礼を言った廣田の腕を強引に掴んで、外へ促した。こんな姿を誰にも見られたくないと思ったから。