還魂―本当に伝えたかったこと―
***
「間一髪……」
フラフラしながら、地面に降り立つ。体のあちこちから激痛が襲った。
「ここはあの場所か……」
呪文を唱えた瞬間に、無意識にこの場所を考えたらしい。ヤツの父親を死に追いやり、そして助けた崖道。
息を切らしながら、岩場に体を横たえる。追手の気配を追うべく目を閉じてみたが、感じることはなかった。
「なぜ追手が来ないんだ? もしかして先回りしているのか……」
何が何でも、やり残したことをしなければ――大鎌があったらこんな傷はすぐに治せたというのに、真っ二つに折られてしまったせいで使えないと判断し、ここに来てしまった。果たしてやり残したことを上手くできるんだろうか?
小1時間程休憩した後に立ち上がる。傷は半分くらい、かろうじて塞がっていた。
「先回りされていたら、絶体絶命だな……」
こんな姿を見たら間違いなく、アイツは自分を責めるだろう。どうにも面倒な人間だから。
重い体を引きずりながら、何とかアイツの家に向かう。哀れな俺を、三日月が嘲笑うかのように輝いていた。
家の周りにいるかもしれない他の死神の気配を捜したが、崖道同様に感じることはなかった。
(重罪を犯したはずなのに、どうして追手が来ない?)
目を伏せて考えた。
もしかしたら、やり残したことが分かっているから追って来ない。俺の手でそれを解決させようとしているのなら納得がいく。
最期の力を振り絞り、アイツの部屋に入った。相変わらず、あどけない顔をして深い眠りについていた。
「目を覚ますなよ……」
そっと告げてから屈んで唇を合わせせて、自分の力を分け与えたのだった。
「間一髪……」
フラフラしながら、地面に降り立つ。体のあちこちから激痛が襲った。
「ここはあの場所か……」
呪文を唱えた瞬間に、無意識にこの場所を考えたらしい。ヤツの父親を死に追いやり、そして助けた崖道。
息を切らしながら、岩場に体を横たえる。追手の気配を追うべく目を閉じてみたが、感じることはなかった。
「なぜ追手が来ないんだ? もしかして先回りしているのか……」
何が何でも、やり残したことをしなければ――大鎌があったらこんな傷はすぐに治せたというのに、真っ二つに折られてしまったせいで使えないと判断し、ここに来てしまった。果たしてやり残したことを上手くできるんだろうか?
小1時間程休憩した後に立ち上がる。傷は半分くらい、かろうじて塞がっていた。
「先回りされていたら、絶体絶命だな……」
こんな姿を見たら間違いなく、アイツは自分を責めるだろう。どうにも面倒な人間だから。
重い体を引きずりながら、何とかアイツの家に向かう。哀れな俺を、三日月が嘲笑うかのように輝いていた。
家の周りにいるかもしれない他の死神の気配を捜したが、崖道同様に感じることはなかった。
(重罪を犯したはずなのに、どうして追手が来ない?)
目を伏せて考えた。
もしかしたら、やり残したことが分かっているから追って来ない。俺の手でそれを解決させようとしているのなら納得がいく。
最期の力を振り絞り、アイツの部屋に入った。相変わらず、あどけない顔をして深い眠りについていた。
「目を覚ますなよ……」
そっと告げてから屈んで唇を合わせせて、自分の力を分け与えたのだった。