還魂―本当に伝えたかったこと―
***
「今日は会社を休む。体調が悪いから、このまま病院に行ってきます」
そう言って自宅を出た私を、待ち構える人物がいた。塀を背もたれにして眉根を寄せながら、暗い顔の私を見るなり苦笑いする。
「あらあら、随分と泣き腫らした目をしているのね。しっかりお別れはできたのかしら?」
「どうして、そのことを知ってるんですか?」
昨夜あった出来事を思い出し、込み上げてくるものを何とか堪えた。
「死神は自殺した人間がなるって、前に言ったでしょ。自分のためじゃなく、誰かのために命を与えることができたら、死神を卒業する仕組みになってるの。ちなみに私は未だに卒業できなくて、700年も死神をやってるんだけどね」
肩をすくめて、長い赤髪を右手でかきあげる。
「卒業できたら、死神はどうなるんですか?」
「多分、また人間になるんじゃないのかしらね。今度は自殺せずに、幸せな人生を送れるんじゃない? そのために死神になって、つらいを修行したんだから」
(シルバーが転生するなら、来世は明るくて楽しく過ごせる一生だといいな――)
「彼の修行が終わったから、アナタともう会うことがないと思って、お別れを言いに来たの。彼氏と仲良くやんのよ。もし何かあって腹上死がご希望なら、呼んでくれたらすぐに飛んでいくから」
ウインクしながら色っぽく言う彼女に、以前同様丁重にお断りした。
「いろいろ教えてくれて有り難うございました。お仕事頑張ってください」
感謝を込めて言うと、ふんわりとほほ笑んで霧のようにパッと消えた。
これですべてが、終わったんだ。
ぬけるような青空を見て決心した。今までの出来事を洸に伝えてあげようと。だって彼が1番、シルバーとかかわり合っているんだから。
私が見たすべてを教えてあげようと思った。
「今日は会社を休む。体調が悪いから、このまま病院に行ってきます」
そう言って自宅を出た私を、待ち構える人物がいた。塀を背もたれにして眉根を寄せながら、暗い顔の私を見るなり苦笑いする。
「あらあら、随分と泣き腫らした目をしているのね。しっかりお別れはできたのかしら?」
「どうして、そのことを知ってるんですか?」
昨夜あった出来事を思い出し、込み上げてくるものを何とか堪えた。
「死神は自殺した人間がなるって、前に言ったでしょ。自分のためじゃなく、誰かのために命を与えることができたら、死神を卒業する仕組みになってるの。ちなみに私は未だに卒業できなくて、700年も死神をやってるんだけどね」
肩をすくめて、長い赤髪を右手でかきあげる。
「卒業できたら、死神はどうなるんですか?」
「多分、また人間になるんじゃないのかしらね。今度は自殺せずに、幸せな人生を送れるんじゃない? そのために死神になって、つらいを修行したんだから」
(シルバーが転生するなら、来世は明るくて楽しく過ごせる一生だといいな――)
「彼の修行が終わったから、アナタともう会うことがないと思って、お別れを言いに来たの。彼氏と仲良くやんのよ。もし何かあって腹上死がご希望なら、呼んでくれたらすぐに飛んでいくから」
ウインクしながら色っぽく言う彼女に、以前同様丁重にお断りした。
「いろいろ教えてくれて有り難うございました。お仕事頑張ってください」
感謝を込めて言うと、ふんわりとほほ笑んで霧のようにパッと消えた。
これですべてが、終わったんだ。
ぬけるような青空を見て決心した。今までの出来事を洸に伝えてあげようと。だって彼が1番、シルバーとかかわり合っているんだから。
私が見たすべてを教えてあげようと思った。